筋萎縮性側索硬化症を中心に 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の診療で、インフォームド・コンセントの中核を成すものは病状の告知である。実際に生じる将来の身体機能の低下を患者に正しく理解させ,その機能低下を予測した対応を図り、適切な時期に適切な病状の告知を行うことは、重要な医療技術である。
告知の技術として誰が(術者)、いつ(告知時の障害の程度)、どこで、どんな方法で(告知の会話の進め方)などの点を考慮しなければならない。
出来るだけ、廃用または栄養障害による二次的な筋力の低下を防ぐように説明をする。
患者には早期からコミュニケーション障害に対しての準備を行う。
経鼻胃チューブ、胃瘻についての説明を行うとともに、経口摂取に無理にこだわることによる嚥下性肺炎の可能性、栄養障害の問題について説明する。
気管切開、人工呼吸器についての説明を行うが、深刻な問題なので患者の家族状況、会社などの背景が十分把握でき、患者との信頼関係が築かれた後に行うことが望ましい
人工呼吸器を装着しないと決断することは呼吸不全に陥ったとき、“死”を選択することであり、患者にとって厳しすぎると考える人もいる。しかしインフォームド・コンセントの法理からすると、それがたとえその患者にとって辛いことであるにしても、また、家族が「本人には言わないでほしい」と申し出ても、「明日かつ現在の危険」があるなど特段の事情がない限り、患者の「知る権利」は医師・家族らの「知らせない配慮」に優先する。
長期入院の出来る病院を見つけることが如何に困難であっても、不可能ではなく、患者自身が生きることに対する目的と希望をしっかりと持っていれば、主治医も何とかしてその希望を叶えられるように努力するものである。
人工呼吸器を付けたまま自宅療養をするものであり、患者のQOL(生活の質)という点では長期入院療法に勝るため、人工呼吸器を付けて入院中の患者に対しても、在宅調整(在宅療養が可能になるように福祉サービスと連携して外からの介護力の導入を図る)により在宅療養への移行が出来るだけ進められている。
在宅療養のためには、
東京、大阪、千葉、新潟、秋田、兵庫、福井など
(詳しくは都道府県の担当部署または近くの保健所にお聞き下さい)
| 在宅人工呼吸指導管理料 | 2,300点 |
| 陽圧式人口呼吸器使用加算 | 7,000点 |
呼吸不全に陥ったとき延命処置を望まず人工呼吸器を装着せず死亡した患者の遺
族に対する調査(8遺族)では、全例がどのような医療的処置を受けるか患者と家族で相談することができたと答え、患者の療養方針を決定する上で社会的側面の説明を含めたインフォームド・コンセントが患者・家族の療法に必要であると回答している。患者が人工呼吸器の装着を選択しなかった理由としては、2遺族が経済的問題や介護力等の社会的側面の影響が大きいと答えている。
現在の医療制度、社会環境のもとでは、患者が人工呼吸器の装着の自己決定に際し、経済的問題や介護力などの社会的側面の影響を受けることは避けられない。患者や家族が療養方針を決定する際に、社会経済的影響がなるべく軽減できるように神経難病緩和ケア病棟の整備、在宅療養支援システムの整備に努める必要がある。