I−1 ALS患者の包括的地域ケアの現状と今後の展望
国立療養所南九州病院副院長(神経内科) 福永 秀俊
「ALS患者のケア」に関して、今年はいい意味で節目の年になるような気がする。
ALSを中心とした難病のケアを考えるこのようなシンポジウムが、全国各地から様々な職種が参加して開催されたことも特筆すべき出来事であるし、また「ALS等の療養環境整備に関する研究班」ができ、「ALS情報ネットワーク」も推進されつつある。
現在のところ的確な治療法のないALSでは、その長期ケアをどうするか、発病からターミナルに至る過程で生じる様々な問題にいかに対応していけばよいかが問われている。
そこで、まず歴史的にみた日本のALSケアの研究の歴史を概略し、そしてALSケアの現状、また今後の展望について考えてみたい。
ALSケアの現状として、日本各地でそれぞれ先進的な取り組みが行われている。方法を分類すると、病院入院型、在宅ケア型、ネットワーク型、保健所主導型、医師会主導型、患者会主導型、などがあり、それぞれ一長一短がある。ただ現状では地域の実状に即したいろいろなスタイルによる長期ケアのやり方があってもいいように思う。
ネットワークに関しては、厚生省も全国各県に「ALS情報ネットワーク」を組織し、患者の入院情報の提供と調整を考えている。鹿児島県では平成8年より県下34の神経内科を主体とする医療機関のネットワークを構築し、入院相談や講演会の開催、在宅ケア時の他の機関との調整に当たっている。ALSケアは、居住地域でケアできることが理想であり、今後、保健所や地域の保険福祉機関との相互連携のもとに、患者の意向に添った長期ケアが求められている。
また医療・保険・福祉関係者に神経難病に関するアンケートを行なったところ、多くの関係者はALSケアに関して、前向きの認識を示してくれた。多くの人々の英知と協力をもとに、ALSケアの理想的な姿を求めていきたい。