I−2 難病の緩和医療の進歩と今後−QOL向上に向けて
新潟地区における難病のケア、現状の問題と改善の方向
人口48万人の新潟市の、平成9年度の38特定疾患登録者1746人(人口10万:363)に対する生活実態調査では、日常生活動作(ADL)に不自由のある患者516人(寝たきり患者46人)中、食事、着替え、入浴、排泄に介助を要する患者は約180人で、アンケート回収率64%から推計すると、人口48万中280、10万対58、全難病患者の17%に介護が必要である。要介護者の大部分が神経難病患者で、医療機器装着患者は59人(全難病患者の5.1%)であった。神経難病患者の高齢化と彼らを支える家族の縮小化は、神経内科の医療現場に大きな問題を投げかけている。
要介護難病患者の生活や医療を保証するには、保険、医療、福祉にわたる多職種が共同作業する、在宅および施設医療を包括した地域ケアシステムが不可欠である。特に経過とともに高度医療、重介護になるALSや多系統萎縮症は最終的には病院で看るしかなく、医療保険上、入院時医学管理料の逓減性や30日条項の部分的な緩和、全介助難病患者への看護料加算等の改善が必須である。平成3年以来、市役所保健衛生課を事務局として毎月開催される自由参加の難病ケース検討会で、新潟市全域の在宅患者の援助を検討し、それに拠りフォーマル、インフォーマルなサービス提供機関が共同で援助をしてきた。ケース検討会で浮上した問題点は年2回、上部機関としての新潟市難病対策検討会で討議し、政策提言を行う。これらに拠り、難病患者に市長が責任を負う“統合的な地域ケア”を保証出来るようになった。在宅患者の包括的地域ケアシステムの二つの柱は、在宅医療の提供とホームヘルプであるが、新潟市では市福祉公社の365日対応するホームヘルプ事業の貢献が大きい。介護力の少ない重症難病患者には、夜間、早朝のケアが必要で、平成8年10月より夜間巡回型ヘルパー派遣が、平成9年4月より臨時の夜間介護の提供が始まった。しかし医療依存度の高い重症神経難病患者では、ポイント訪問の看護や介護では対応しきれず、求められる長時間滞在型の看護を、どこで提供するかが今後の問題点である。