II−1 インターネットの医療における課題と展望
国立がんセンター研究所 がん情報研究部 室長 水島 洋
近年のインターネットの発達と医療の情報化の進展によって、多くの医療機関がインターネットに接続され、医療従事者のインターネット利用者数も増加してきている。これに伴い、医療におけるインターネットの利用や応用も様々な形ですすめられている。専門家同士では電子メールの利用による情報交換やメーリングリストによる議論、文献検索、wwwによる情報検索や情報提供、さらにはテレビ電話を用いたコンサルテーションや合同カンファランスなどの遠隔医療、データ共有などがある。一方患者さんを含んだものとしては、入院中の患者や在宅ケアにおける遠隔相談や情報検索、患者間でのコミュニケーションなどがあげられる。また、障害者に対するコンピュータ利用を支援する機器の開発も進んでおり、目の動きだけで入力コントロールができる機器なども開発されている。このように様々な形でネットワークは活用されつつある。しかし、その反面法律や保健適用などの制度が追い付いていない現状もある。
医療用の広域ネットワークプロジェクトも、国立がんセンターを中心とするがんネット、国立循環器病センターを中心とする循ネット、国立病院・療養所など250個所あまりを結んだ国病ネットなどが整備されつつあるものの、多くの医療機関はそれぞれ異なるプロバイダーに接続しており、それらの間にある通信がセキュリティ、利用制限、パフォーマンス、費用などの様々な点からの問題となっている。これらの問題を解決し、医療におけるネットワーク利用の普及啓蒙を促進することも目的として、科学技術庁の研究費による医療情報ネットワーク相互接続プロジェクト(MDXプロジェクト)が開始された。
今後、ネットワークを用いた医療に関する理解がすすみ、法制度なども確立されて、QOLを向上させるようなシステムが多く構築されてくることが期待される。