診断の方法
多発性硬化症の特徴は、症状が時間的、空間的に多発していることです。
時間的、空間的多発性を見るためには、先ず患者さんの訴える病歴をできるだけ詳しく尋ね、診察をします。すなわち動きにくいところとその程度、障害されている感覚の種類(痛み、触覚、関節の動く感覚など)、記憶力、判断力、話し方、聴力、視力と視野などです。そして、それらの所見を総合して中枢神経系の解剖学的に離れたところに2個以上の病巣がある(空間的多発性)かどうか、また、病歴の分析から病気の経過に緩解、再燃(時間的多発性)があるかどうかを判断します。
臨床症状が時間的、空間的に多発していれば多発性硬化症の診断が濃厚になります。しかし、初めて症状を出した場合などでは、この「時間的、空間的多発性」の所見を見つけることは困難であり、以下のような補助検査が必要になります。そして、血液検査やレントゲン検査などで、他の内科的または外科的病気が見つからなければ、多発性硬化症の診断がつきます。
しかし、この検査が異常だから「多発性硬化症」であるといえるような 多発性硬化症に特異的な検査はありません。
多発性硬化症の診断に必要な臨床検査
特にMRI検査は、多発性硬化症の病巣を検出するのに有力であり、無症状の病巣も検出できます。
造影剤を血管に点滴しながら検査する増強法は、多発性硬化症の病巣をより小さなものまで検出でき、また活動性の新しい病巣かどうかという判断にも役立ちます。
造影MRI検査を定期的に行い、新しい病巣が次々と出ていないかをしらべる必要があります。




国立療養所犀潟病院神経内科
MAGNEX 150HP(島津製作所製)にてMRI撮像, T2強調画像、軸位断
(多発性硬化症の21歳女性のMRIのT2強調画像)
これらの所見は、多発性硬化症に特異的なものではなく、中枢神経系の炎症性疾患に共通の変化ですが、他の血管障害などを否定し、多発性硬化症の診断をより確からしくするとともに、病気の活動性の指標となることがあります。
以下のものが臨床的に用いられていますが、検査結果に異常があれば病巣の多発性を裏付ける所見となることがあります。
HLA(human Leucocyte antigen) 、T細胞分画、ミエリンを構成する脳塩基性蛋白(MBP)やプロテオリピッド蛋白(PLP)にたいする抗体などの免疫関係の検査を行うこともあります。
(Schumacher,G.A.,et al, 1965)
遅延型過敏症によるアレルギー性脱髄性炎症と考えられています。