多発性硬化症を診断するにはどうするのですか?

診断の方法

多発性硬化症の特徴は、症状が時間的、空間的に多発していることです。

時間的、空間的多発性を見るためには、先ず患者さんの訴える病歴をできるだけ詳しく尋ね、診察をします。すなわち動きにくいところとその程度、障害されている感覚の種類(痛み、触覚、関節の動く感覚など)、記憶力、判断力、話し方、聴力、視力と視野などです。そして、それらの所見を総合して中枢神経系の解剖学的に離れたところに2個以上の病巣がある(空間的多発性)かどうか、また、病歴の分析から病気の経過に緩解、再燃(時間的多発性)があるかどうかを判断します。

臨床症状が時間的、空間的に多発していれば多発性硬化症の診断が濃厚になります。しかし、初めて症状を出した場合などでは、この「時間的、空間的多発性」の所見を見つけることは困難であり、以下のような補助検査が必要になります。そして、血液検査やレントゲン検査などで、他の内科的または外科的病気が見つからなければ、多発性硬化症の診断がつきます。

しかし、この検査が異常だから「多発性硬化症」であるといえるような 多発性硬化症に特異的な検査はありません。

多発性硬化症の診断に必要な臨床検査


<参考> 多発性硬化症の診断基準

(Schumacher,G.A.,et al, 1965)

  1. 神経学的検査で中枢神経障害に基づく他覚的異常を認める。

  2. 神経学的検査または病歴で、中枢神経に2カ所またはそれ以上の異なった病巣がある。

  3. その他覚的所見は、主として白質すなわち線維路の病変による。

  4. 時間的には次の2通りの経過を示す。

    1. 少なくとも24時間続く障害が、1か月以上隔てて2回以上増悪する。

    2. 症状が徐々にまたは階段状に6か月以上にわたって進行する。

  5. 発病年齢は10歳から50歳

  6. 症状が他の疾患では説明できないもので、そのことは神経学に精通した医師が判断しなければならない。



急性散在性脳脊髄炎(ADEM)

急性に発病する脳脊髄炎で、発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣などのほか、運動麻痺、感覚障害などいろいろの症状を出すことがあります。副腎皮質ホルモンによる治療によく反応して2〜3か月で症状は軽快します。このように単相性の経過をとるところが、時間的に多発(多相性の経過)する多発性硬化症と異なる点です。しかし、一度、緩解してから再発して多発性硬化症との移行型と考えられる例もあります。



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