疲労には精神的なものと肉体的なものがあります。病気のために気持ちが落ち込んで、うつ的になっていると元気がなくなり、とても疲れやすく感じます。少しの抗うつ剤の服用で改善することがあります。また、入院生活が長引き、ベット上の生活が長引くと、体力が低下してしまい、そのため以前は楽々できた動作にがスムーズにできなくなることもあります。多発性硬化症でも急性期の治療(ステロイド療法など)に合わせて適度のリハビリテーションを継続していることが必要です。
また、多発性硬化症は自覚症状と他覚症状との間にギャップがあり、神経症状の割に疲労感が強いということもあります。治療に使われている薬の影響ということもあります。ステロイドホルモンは、気持ちを高ぶらせ睡眠を妨げることが少なくありません。そのため昼間は疲れることになります。ステロイド剤はなるべく朝のうちに使用するようにした方がホルモンの生理的な働きの上でも、睡眠に対する影響からも良いのです。
副腎皮質ホルモンの分泌は、生理的には朝に多く、夕方には少なく分泌されます。そのため、プレドニンの服用も朝に多く、昼、夕に少なく服用したり、朝1回に服用する方法がとられます。また、副作用の出現を少なくするために、2日分相当量を朝1回に服用し、翌日は休薬するやり方(隔日投与法)で、漸減してゆく方法もあります。
多発性硬化症の場合、プレドニンは1日量10〜15 mgまでは問題なくスムーズに減量してゆけることが多いのですが、それ以下に減量する時に、症状が再発することがあり、注意を要します。
プレドニンを減量したときに、多発性硬化症の症状が再燃、増強することもありますが、プレドニンの服用量の減少に伴う一時的な体内からのホルモンの分泌の不足による症状(離脱症状)であることもあります。
離脱症状としては、
長期のプレドニン服用を中止した後に、副腎皮質の抑制状態(ホルモンが出ない状態)が自然回復するにはかなりの時日を要します。その期間は、プレドニンの使用量と使用期間だけではなく、個人差が著しいのですが、完全な副腎皮質機能の正常化には9か月以上を要する場合もあります。
症状が増悪したと思われる時の対処は、今までも経験した症状で、日常生活が数日前と同じように出来ていれば、そのまま2〜3日様子を見てもらいます。特に急に気温の上がったとき、疲れたときなど、症状の増悪がありがちです。 数日見てさらに悪化せず、むしろ改善するときには、放置します。
しかし、症状の悪化がいつもと違うようだと判断される時には、直ぐ主治医に連絡して、適当な処置を受けることをすすめます。
身体障害のため、また家庭環境のため、直ぐに受診できない患者さんもおられますが、多発性硬化症の専門家の中には、このような状態があることを見越して数日内服できるように、患者さんに用心のために1週間分のプレドニンを持たせておき、電話での相談により判断して指示しておられる方もあります。
腰椎穿刺後の頭痛の治療 :
腰椎穿刺後の頭痛は不快な症状ですので、2度とこの検査を受けたくないと思われるかもしれませんが、病気の診断、治療方針を立てるためにはどうしても必要になることがあります。
多価不飽和脂肪酸の摂取は、動脈硬化の予防に強調されていますし、少なくとも有害ではありません。
※多価不飽和脂肪酸の多い食品には、
多発性硬化症の患者さんは、他の神経疾患の患者さんと同様に便秘傾向が強いので植物繊維を多く含む食品が勧められます。
※植物繊維を多く含む食品には、
下半身の筋力が弱っていたり、バランスが低下しているときに、 体重が増加すると下半身の負担が余計にかかり、機能をより低下させてしまいます。また、ステロイドの副作用を防ぐためにも太りすぎはよくありません。カロリーの取り過ぎに注意して良質の蛋白質を多く取るようにしましょう。
※カロリーの取り過ぎを防ぐには、
しかし、再発が多い、症状が重いなどでプレドニンを長期に使用せざるを得なかった方は、なかなか減量中止できず、やむを得ず少量のプレドニンを維持的に使用する場合があります。 副腎皮質ホルモンの1日分泌量は、プレドニンにして普通1日5〜7.5 mgといわれています。
中毒では、アルコール、タバコ、水銀などが良く知られています。変性ではレーバー病(遺伝性視神経ニューロパチー)などがあります。高齢者では、虚血性視神経ニューロパチーで一側性の視力障害を生じますが、この障害は眼痛が無く、回復も困難です。
多発性硬化症では、初発症状の15%で、全患者の10〜30%に視神経炎があると言われ、原因のはっきりしない視神経炎は、多発性硬化症の初発または部分症状である可能性があります。眼球を動かした時などに、軽い眼痛を伴って、一側または、両側の視力が急速に消失しますが、80%以上で治療の有無によらず改善してくるのが普通です。しかし、視神経炎の発作を繰り返すと、視力の永久消失の危険が大きくなりますが、視力の完全消失はまれです。
急に視神経炎がおきたときには、多発性硬化症の他の症状がないかどうか、神経内科の専門医による注意深い診察が必要になります。また、脳のMRI検査、髄液検査なども必要です。一方、視神経炎の患者で、多発性硬化症の症状を生じてくるかどうか、予測することは困難です。
MR装置の中で最も重要な部分は本体の磁石であり、MRイメージングを可能にするにはかなり磁場強度が大きいものでなくてはなりません。磁石の磁場強度は、テスラ(Tesla、Tで表す)あるいは、ガウス(Gauss)で表され、
高磁場装置の方が空間分解能に優れており、分析のために役立ちます。一方、低磁場装置の方が組織間のコントラスト(信号強度)に優れており、価格も維持費も安いなどの特徴があります。
MRI検査で病巣が見つかっても、その脱髄巣のある脳の場所が臨床症状の出にくい場所の場合には症状がでないことがあります。また、逆に新しく症状がでてもMRIが磁場強度の低い機械ですと、脳の小さな脱髄巣を検出できないことがあります。このように臨床症状と画像所見は必ずしも一致するとは限りませんが、病気の経過を見るためには、定期的にMRI検査をする必要があります。
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Q:症状が変化するのですが、再発でしょうか? それとも多発性硬化症の症状は変化するものでしょうか?
A:
多発性硬化症の再発(再燃)とは、前回の病巣とは違った場所に新しく病巣が出来るものを言います。ですから、症状あるいは、症状の起きた部位が前回までのものとは違っていることが多いのです。![]()
Q:脊髄液の検査の後で、とても頭痛がひどいのですが?
A:
腰椎穿刺で脊髄液を採取した後に、しばしば頭痛が生じます。これは腰椎穿刺によって脊髄の硬膜にできた針の穴から髄液が漏れて低脳圧になるためといわれています。この頭痛の特徴は、起きあがると頭痛、悪心が強いのに臥床していると頭痛がないことです。
腰椎穿刺後の頭痛の予防:
(そのためには、検査の時の体位が非常に重要なので、検査に協力する)
脳脊髄液検査の意義
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Q:多発性硬化症の再発を防ぐような食事療法はありませんか?
A:
多発性硬化症は、脳脊髄の白質、すなわち髄鞘が崩壊する病気ですが、髄鞘は主に不飽和脂肪酸で構成されています。そのために、昔から多価不飽和脂肪酸による食事療法が有効なのではないかという意見があり、色々提案されてきました。しかし、効果については今のところ確かな結果は報告されていません。
多発性硬化症は、風邪などのウイルス感染などをきっかけとして症状を再燃し易い一方、ステロイド療法などにより身体の抵抗力が低下します。そのため、ビタミンの補給なども意味のあることでしょう。
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Q:プレドニンはいつまで服用すればよいのですか?
A:
プレドニンは、漫然と長期に使用するものではなく、パルス療法のような形で大量を1回に点滴で与えたり、始め大量に服用しても症状が軽快したら漸減中止されるのが普通です。![]()
Q:パルス療法は通院では出来ないのですか?
A:
パルス療法は、外来で行うことも不可能ではありませんが、まれに副作用として精神症状の出現、痙攣、糖尿病の悪化、消化性潰瘍などが報告されています。また、多くの場合、パルス療法の後療法として経口的に副腎皮質ホルモンの投与がなされますので、やはり、入院の上、施行された方がよろしいと思います。
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Q:視神経炎があって、多発性硬化症の疑いと言われたのですが?
A:
視神経炎という病名は、炎症、変性、脱髄、中毒など、原因の如何を問わず、急に視力の消失をきたす視神経の病気に対して漠然と使われています。眼底検査で乳頭浮腫が見られないものを球後視神経炎、乳頭浮腫のあるものを視神経乳頭炎と分類することがあります。![]()
Q:MRIの器械で0.5Tとか1.5Tとかいうのはどう違うのですか?
A:
MRI(magnetic resonance imaging 核磁気共鳴画像法)は、生体の磁気の変化を用いて生体の断層写真を撮る方法です。
1 Tesla= 10,000 Gauss
となります。イメージングに使われる磁石は、大抵0.5〜1.5 T(テスラ)程度の磁場強度を持っています。因みに地球の磁場強度は0.3〜0.7ガウス、冷蔵庫のドアの磁石は約100ガウス、つまり0.01テスラです。
1.0〜1.5テスラの装置では検出される病巣が、0.2〜0.5テスラの装置では検出されないことがあり、多発性硬化症の診断のためには、分解能に優れた1.0テスラまたは1.5テスラの装置を用いることがすすめられています。
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Q:症状が再発したのに、髄液検査やMRI検査では異常が無いというのですが?
A:
多発性硬化症では髄液検査で必ず異常がでるというものではありません。髄液検査で蛋白増加、IgGの増加などの異常があれば病気がまだ活動性の時期にあり、パルス療法(ステロイド療法)が必要であることを示していますが、髄液が正常だからといって活動性がないとは言えないのです。![]()
Q:手が振るえるのですが?
A:
多発性硬化症の臨床症状として手指の振戦が生じることもありますが、多発性硬化症の治療に用いられている副腎皮質ホルモン(ステロイド)のために振戦が生じていることも少なくありません。専門医が診れば多発性硬化症自体による症状なのか、副腎皮質ホルモンによる副作用なのかは振戦の観察により判断できます。副腎皮質ホルモンによる振戦ならば、薬を減量していけば必ず振戦が軽快しますので、余り焦らないで、病気が軽快し、薬を止めることができようになるのを待って下さい。
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