リハビリには、理学療法、作業療法、言語訓練などがあります。
理学療法(PT)では、寝がえり、起きあがり、車椅子への乗り移り、歩行などの基本動作訓練をおこないます。作業療法(OT)では、趣味、創造、生産的活動をつうじて、手指が上手に使え、家事動作や仕事上に必要な動作ができ、家庭や社会に適応できるように訓練します。
多発性硬化症に対するリハビリは、発病直後より関節可動域運動など負荷の少ないものから始めます。積極的な機能回復訓練は、再発がおさまり、病状が安定しはじめるのを見はからって行いますが、その間の
臥床生活による安静のために本来、障害を受けていない部分の機能まで低下してくる(廃用症候群といいます)のを避けなければなりません。
廃用症候群を避けるためには、昼間はできるだけ臥床を避け、座位を保つことと、毎日リハビリを継続することです。
座位を保つためには、車椅子に乗っているか、可能であればベットの端に腰掛け(端座位といいます)、両足を床につけて、背もたれを使わないで、大腿の筋肉・腹筋・背筋を緊張させて、いつでも立てるような姿勢で座っていることです。このことにより筋力の低下を避け、褥創の発生を防ぐことが出来ます。
病状がある程度落ちつき、積極的にリハビリが行われるようになりますと、マット上の運動、座ったままでのバランス訓練、立ち上がり訓練、平行棒内の歩行訓練と基本動作訓練から応用動作へと順を追って訓練を行っていきます。これは、医師、理学療法士による障害の評価と訓練計画に基づいて行われているのですから、毎日、基本動作の訓練の繰り返しばかりで、進歩が遅いと先を焦ってはいけません。障害が強く、リハビリでの機能回復が望めない部分は、各種装具、杖、歩行器、車椅子の使用により歩行困難を解決することが出来ます。
日常生活の困難な部分についても、色々な自助具が出来ています。作業療法士が家事動作の具体的な訓練にあわせて教えてくれるでしょう。
多発性硬化症では、熱や汗が出るほど訓練をやりすぎないようにしましょう。体温が上ると既にある症状が一過性に悪くなることがあります(ウートフ徴候といいます)。ついでながら、同じ理由で熱いお風呂は避けた方がよいでしょう。
痛みやつっぱりの強いのは、リハビリで良くなっていくこともありますから、それだけでリハビリを中止したりしてはいけません。
リハビリ期間は症状にもよりますが、3カ月を一つのめどとして、反省し、目標・計画をたて直します。