- 明確な原因はまだ解っておりませんが、何らかの原因で、主として、脳の中脳にある黒質の神経細胞が変性するためにいろいろな症状が出現してくると考えられています。パーキンソン病の症状は、黒質に正常にある全神経胞が障害されないと出現してこないといわれています。この細胞はドーパミンという物質を脳の基底核とよばれる部分にある線条体に送り、円滑な随意運動を行うために大切な役割をつとめています。随意運動とは、例えば意識して自分の手足を動かそうと行うような運動をいいます。私たちの運動のほとんどがこれですが、時に自分では動かそうと意識していないのに勝手に例えば足が動いてしまうとき、これを不随意運動と呼んでいます。睡眠中に下肢が大きくビクッと動いて眼が覚めることを経験した方も多いと思いますが、これも不随意運動の一つです。したがって、不随意運動がすべて異常というわけではありません。)を行うために大切な役割をつとめています。

黒質の神経細胞はドーパミンという神経伝達物質によって線条体にある神経細胞に刺激を送り(ピンクの線)、正常な随意運動に大切な役割を果たしています。 線条体の中ではアセチルコリンという神経伝達物質が他の神経細胞に刺激を送り(赤の線)、やはり正常な随意運動に大切な役割を果たしています。パーキンソン病ではこの神経細胞には異常はありませんが、円滑な随意運動を行うためにはドーパミンを使う神経細胞の活動とアセチルコリンを使う神経細胞の活動にちょうど良い釣合がとれている必要があります。パーキンソン病では、相対的にアセチルコリンを使う神経細胞の活動が強くなりすぎた状態にあります。 図にはありませんが、パーキンソン病ではノルエピネフリンという神経伝達物質が減少していることも解っています。 左右につきあがった髭のように黒く見える帯状の部分が黒質です。この部分にある神経細胞はメラニンを多く持っており、そのために黒く見えます。それゆえに黒質と呼ばれています。この細胞がドーパミンを神経伝達物質として使っています。パーキンソン病ではこの神経細胞が障害され、黒質の黒い色が薄くなります。また、ドーパミンも減少します。

いろいろな神経伝達物質を解りやすく図にしたものです。ドーパミンはドーパから作られて、アセチルコリンを使う神経細胞のドーパミン受容体(赤い台形の部分)に付着して刺激を伝達します。またノルエピネフリンを使う神経細胞はそのエピネフリンをドーパやドーパミンから作っています。パーキンソン病では、この内ドーパミンとノルエピネフリンが不足しており、アセチルコリンを使う神経細胞の活動が相対的に高まっています。
パーキンソン病では何故、黒質の神経細胞が選択的に傷害を受けるるのか?
パーキンソン病で黒質の神経細胞が選択的に傷害を受ける機序は未だ確かではありませんが、現在のところ「神経毒説」が有力とされています。
MPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)が、実験的に、また人の中毒例でパーキンソン病症状を生じることから、外来性のあるいは脳内で生じたMPTP樣物質が黒質の神経細胞の傷害を生じてパーキンソン病を発症させるという説です。
MPTPは血液脳関門を通過しMPP+(1-methyl-4-phenylpyridinium ion)となり黒質神経細胞に取り込まれます。しかし、MPTPは試験管内の実験によって作られた合成産物であり、自然界には存在しない物質なので、実際にはどのような物質がMPTP樣物質としての働きをしているのか追求されている段階です。
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