パーキンソン病についてよく聞かれる質問(1)

Q:非常に転びやすいのですが?
A:
パーキンソン病では姿勢反射が障害され、すくみ足となるために、足が動かず、上半身だけが前にのめって倒れてしまうことが少なくありません。 すくみ足のため足が前にでないときには、無理に足を出そうとせず、姿勢を正して深呼吸をしてから足を出すようにすると良いようです。また、出そうとする足を逆に一歩後ろに下げ、続いてその足を前に出して歩き始めるようにすると足がでやすいようです。
転倒の多い方は、頭部、顔面の外傷を防ぐために廊下(特に曲がり角)、階段に手すりを付けることが勧められますし、頭部保護帽や、サポーター(転倒時の膝、肘の保護のために)を着けた方が安全です。
また、ベット脇に移動用バーを付けるとベットの利用が楽になります。膝関節が充分に伸びない(屈曲拘縮)方、後方転倒傾向のある方では、踵の高い靴を履くと逆にスムーズに歩けることがあります。
移動用バーの写真
身体障害者のための住宅改造
パーキンソン病における住宅改造のポイント


Q:
少し記憶力が落ちてきたようですが?
A:
パーキンソン病の患者さんで認知機能の低下(痴呆)がみられることがありますが、それには
  1. パーキンソン病の症状がある程度進んだ患者さんでは、動作が緩徐になるのと同じように、思考過程も少し時間がかかる傾向があります。
  2. パーキンソン病は高齢者に多い疾患ですが、高齢者ではアルツハイマー病(老人性痴呆)の合併が少なくありません。
  3. パーキンソン病では、うつ病またはうつ状態の合併が少なくありませんが、うつ状態により認知行為の低下がより顕著となることがあります。
  4. パーキンソン病に症状が似ているが異なる疾患のために、痴呆を生じていることがあります。
    例えば、
  5. パーキンソン病の治療薬そのものが、せん妄、幻覚を生じやすく、痴呆と間違われることがあります。特に高齢者では気を付けて、少しでもそのような症状があったら主治医に遠慮無く相談すべきです。


Q:
手のふるえがどうしても止まらないのですが?
A:
手のふるえは、個人差が大きく、薬が非常によく効いてふるえが目立たなくなる方もおられますが、ふるえには心理的な要素も強く、薬で完全にふるえを止めておくことは基本的に不可能です。特に高齢者で、ふるえを完全に止めようとして薬を増やしていくとむしろ副作用の方が問題になってしまうことが少なくありません。ですから、少しくらいふるえがあっても日常生活に大きな支障がなかったら、余り気にしないで過ごした方がよいと思われます。



Q:頭と声がとても震えるのですが?
A:
パーキンソン病では、頭と声だけが特にふるえるという事はありません。ふるえが目立つのに、パーキンソン病の他の症状(筋強剛、運動減少、姿勢反射障害など)を生じない状態で最も多いのは、良性本態性振戦です。
パーキンソン病の時の振戦は、静止時振戦ですが、良性本態性振戦は姿勢時振戦で、書字など手の動作をするときに目立ちます。
良性本態性振戦は、常染色体優性遺伝で、早い方は、20歳頃から発症し、家族性振戦とされ、高齢になって発症する方は老人性振戦ともいわれます。
神経内科の専門家が見れば、特別の検査をすることもなく診断が付きます。
あまり進行はせず、この病気のために歩行が障害されることもありません。日常生活に支障がなければ特に治療する必要はありません。

ふるえの病気



Q:パーキンソン病と言われたのに、薬が余り効かないのですが?
A:
パーキンソン病では、病気がかなり進行するまでは薬がよく効くのが普通で、病気の初期から薬が余り効かないということはありません。発病して7〜8年以上も経ってくると薬の効き方は様々となりますが、それでも全く効かないということはありません。
もし、初めから薬が余り効かないということであれば、パーキンソン病と症状の似ている別の病気が考えられます。

Q:
パーキンソン病で治療を受けているのですが、腹圧をかけないと尿が出難くなってきたのですが?
A:
パーキンソン病による自律神経症状として排尿障害があることもありますが、治療として用いられている薬(アーテンなど)によって排尿障害(小水を出そうと思って腹圧をかけても勢いよく排尿できない)を生じていることが多いようです。主治医に相談されて抗パーキンソン剤の種類を変えてもらうか、排尿障害を軽くするような別の薬を一緒に出してもらうなどの対策を立てて下さい。
男性では、前立腺肥大が合併していることがあります。



Q:夜、寝ている時に尿意が近いのですが?
A:
夜間の頻尿の原因には



Q:
薬を飲むと吐き気がしたり、食欲が無くなります。胃が悪いのでしょうか?
A:
抗パーキンソン薬、特にL-ドーパは薬の副作用として吐き気、食欲低下をきたすことが少なくありません。しかし、初め、吐き気などの症状があっても、次第に慣れてしまうことが多く、特別の場合を除き胃の検査などをする必要はありません。
吐き気がするからと言って、無断で薬を中止するのではなく、主治医とよく相談してください。
対策としては、
  1. L-ドーパの服用は、適量となるまで少しずつ漸増して服用する
  2. ドンペリドン(商品名ナウゼリン)などの制吐剤を併用する
  3. 空腹で薬を服用せず、パン、牛乳などを少し食べてから服用するようにして下さい。
このようなことで、ほとんどの方はこの症状を克服できます。



Q:薬の効く時間がだんだん短くなってきたのですが?
A:
抗パーキンソン病薬、特にL-ドーパは長期の服用により、徐々に薬の有効時間が短くなってきます(薬の効果減弱)。
出来るだけ薬の効果を持続させるためには、
  1. 抗パーキンソン病薬は、症状を軽減するだけで、パーキンソン病自体の進行を阻止する薬ではないことを理解する。

  2. L-ドパの量は必要最小限度にし、出来るだけリハビリの併用でカバーしていくようにする。

  3. 薬の服薬を医師の指示通りにきちんと守る。

既に生じている症状に対しての対策としては、

  1. L-ドパの効果を減弱させる以下の併用薬がないか検討する。

  2. 薬の配分、服用時間などを変えてみる。

  3. 他の薬剤の併用によってL-ドーパの効果の減弱を補う。

  4. 薬の効果の減弱する時間帯に合わせて、L-ドーパを小分けして服用回数を増やす。

  5. L-ドーパの剤形を変えてみる(腸溶錠などに)と良いこともあります。

    薬を粉にすると、onまでの時間が短縮されます。

  6. ビタミンCの投与

  7. 低蛋白食
しかし、これらのことは主治医に無断で行ってはいけません。必ず主治医の指示の下に行って下さい。

Q:
発熱しやすいのですが?
A:
病気がかなり進んだ状態では、排尿障害や嚥下障害が生じるために尿路感染や肺炎を生じて発熱することがあります。その時には、抗生物質の投与など、適切な対応が必要となり、主治医に直ぐに連絡して下さい。
病気が進行して、寝たきりに近くなっている時には、感染症状が無くても水分の摂取が少なかったり、外気温が高いときには発熱することが多くなります。これは発汗がうまくいかず、体温調節がうまくゆかないためなのです。夏期など、外気温の高いときにはには水分の補給を充分にするとともに、出来るだけ薄着をさせて、部屋の風通しをよくして下さい。嚥下がうまく行かない方では、水ゼリーなどの形で水分補給をすると良いでしょう。

Q:
便秘がちなのですが?
A:
パーキンソン病の大部分の方は便秘がちで、緩下剤を必要としています。原因は、運動の不足、自律神経障害による腸管の動きの低下、それに加えて抗パーキンソン薬の影響も考えられます。少なくも3日に1回は排便のあるように努力し、排便がなかったら下剤の服用、浣腸の使用も必要になります。便秘のままでは、薬の効果にも影響してきますし、腸閉塞のようになることもあります。



Q:筋肉痛や腰痛がひどいのですが?

A:
パーキンソン病の患者さんは、筋肉が固くなり、身体の動きも少なくなるとともに、前屈姿勢になるため、背中や腰の痛みを訴えることが少なくありません。お風呂などで暖めた後に、柔軟体操をして、姿勢を真っ直ぐに伸ばすようにしましょう。


Q:就寝中に足が急にひきつって痛くなるのですが?
A:
L-ドーパの副作用として、力を入れたわけでないのに下肢を中心として足がぎゅーっと一定の方向に動いて痛くなる(ジストニアといいます)ことがあります。早朝に生じることが多いようです。
対策としては、L-ドーパの分割投与、減量とともに、他の薬剤を併用することが勧められます。

Q:
おっくうになって、やる気が起きないのですが?
A:
パーキンソン病の患者さんは几帳面で真面目な人が多く、他の病気の時よりも抑うつ的になりがちです。気分が落ち込み、過去のことにくよくよ悩んだり、将来を悲観しやすく、そのために動作がより不活発になって、おっくうがったり、やる気が起こらないなどの精神症状を生じるとともに、食欲の低下、不眠などを訴えることが少なくありません。 このような時には、抗うつ剤の服用により気分の落ち込み、食欲低下、不眠などの症状は改善されますので、主治医に相談して下さい。



Q:口が乾くのですが?
A:
抗パーキンソン病薬、特に抗コリン剤(商品名アーテンなど)は、唾液の分泌を低下させ、口渇を生じます。これは、副作用というよりも、この薬にとって本質な作用であり、避けることが出来ません。お茶を飲むなどして我慢をされるのがよいと思いますが、どうしても我慢の出来ない時には、主治医に相談して薬を変えて頂いたら良いでしょう。

Q:
服用している薬の種類が多すぎるのですが?
A:
パーキンソン病の治療では、ある程度病状が進むと数種の抗パーキンソン薬を一緒に使用するのが普通ですが、そのほかに、悪心などの腹部症状に対する薬、便秘しやすいのでどうしても緩下剤、筋肉のこわばりや腰痛も多いのでその薬、血圧低下に対する昇圧剤が必要なことも少なくなく、という風にどうしても7〜10種類以上の薬が必要になることがあります。主治医によく説明を聞いて、飲み落としのないようにきちんと薬を服用して下さい。

Q:
薬を飲み込みにくい時があるのですが?
A:
薬の効果が一時的に切れた状態となり、薬が飲み込めず、食事もできない様な状態になることがあります。その様なときには薬を砕いて水にとかし、飲み込ませるか、ヨーグルトあるいはゼリーと一緒に飲み込ませると薬が服用でき、そのうちに薬が効いてきて食事も出来るようになることがあります。ただし、ペルマックスは薬の粉砕時に異臭、頭重感などが生じるので「粉砕を避けること」という注意事項が書いてあります。ペルマックスはぬるま湯に溶かすと非常によく溶けるので、溶かして服用すると良いでしょう。

Q:
足がむくんでくるのですが、どうしたらよいでしょうか?
A:
パーキンソン病で、歩行が困難になっている方で、車椅子に乗っていると、足がむくむという方は少なくありません。心臓や、腎臓が悪いと、浮腫(むくみ)がきますが、パーキンソン病の場合には心臓や腎臓が悪くなくても下肢がむくむことがあります。それは、手足の筋肉の動きが少ないことと、自律神経の障害により重力によって下半身に血液がたまりやすいことによります。これを防ぐには、下肢の筋肉の運動を多くすることで、車椅子に座っている状態でも良いですから、足踏み運動をすると良いでしょう。また、横になるときには足を少し高めにしておくと良いと思います。また、薬の副作用(特に、シンメトレルで)として下肢の浮腫が来ることもあります。その様なときには、薬を変えるか、利尿剤を併用すると良いでしょう。

Q:
手足が冷たく、紫色になるのですが?
A:
パーキンソン病では自律神経の働きが悪いので手足の血液循環が悪くなり、寒い季節に手足が冷たくなって、皮膚が紫色になることがあります。部屋を温かくし、手足を良く動かす、マッサージするなどして血液の流れを良くすると皮膚の色も回復してきます。また、低血圧のため、昇圧剤を使っている方はそのために手足の血液循環が悪くなることがありますので主治医に相談なさって下さい。

Q:
パーキンソン病のリハビリはどうするのですか?
A:
パーキンソン病の治療では、薬物療法と並んでリハビリが重要です。パーキンソン病ではすくみ足などの歩行障害が日常生活の妨げとなることが多く、そのため歩かないでいると、筋肉を使わないための二次的な筋力低下(廃用症候群)が生じてきます。そして、それが更に歩行障害を悪化させます。それを予防するために、パーキンソン病体操をしたり、座った位置から立ち上がる訓練を繰り返す必要があります。
パーキンソン病のリハビリテーション、パーキンソン病体操


Q:
パーキンソン病の手術はどうするのですか?健康保険が効くのですか?
A:
パーキンソン病で薬が余り効かなくなり無動症が強い患者さん、オンオフの強い患者さんなどの難治例に対して淡蒼球の定位脳手術により脳深部電気刺激療法(DBS)が行われます。振戦だけが強い症例では、視床の手術が行われます。どこの病院でも手術が出来るわけではなく、一部の専門病院でのみ行われていますので、具体的には神経内科の主治医に相談されると良いでしょう。勿論、手術には健康保険が適用されます。
島 史雄先生(九州大学脳神経病研究施設)によると、淡蒼球の定位脳手術の結果は、
  1. 動作の緩慢化、歩行障害、姿勢障害、足の痛み、むくみは一側手術でも改善する。
  2. 手足の振戦、こわばり、不随意運動は、一側手術では反対側の症状のみ改善する。
  3. 言葉や飲み込みの障害、流涎、起立性低血圧などの症状は改善しない。
  4. オンーオフ現象、すくみ足は一側手術では再発する。(一側手術で再発した例は両側手術が望ましい)
  5. L-ドパの効果がない症例は、手術効果もない。
  6. 高齢者ほど手術効果は乏しい。
と報告されています。もちろん、これらの手術を行ってもパーキンソン病を完治させることは出来ず、ただ症状を軽くするだけであり、パーキンソン病の症状がその後も進行するのを止めることはありません。

パーキンソン病に対する定位脳手術の方法


Q:パーキンソン病の患者・家族の会はありませんか?
A:
全国パーキンソン病友の会という患者とその支援者の会があり、各県毎に支部を作って、患者交流会、講演会などの活動をしています。また、全国組織には属さずに地域(保健所)だけで患者会を作って活動しているところもあります。詳しいことは病院のソーシャルワーカー、保健婦さんなどに聞くと教えてくれます。
全国パーキンソン病友の会支部と、その他のパーキンソン病患者団体一覧



Q:
幻覚症状があるのですが、家族はどのように対処したらよいのでしょうか?
A:
幻覚症状(虫が這っている、家の中に誰かがいる、など)はパーキンソン病の藥のためにしばしば生じる副作用で、藥を減量すれば直ぐに消失するのが普通です。しかし、抗パーキンソン病薬を減量するとパーキンソン病の症状が悪化し、藥の量を調節することに難渋することも希ではありません。
幻覚症状に対しては
  1. 可能なら原因となっている藥を変更または減量します。
  2. 幻覚の程度が軽度のもので、日常生活に支障を来さず、しかも、藥の減量により身体機能の悪化を生じるようなら、幻覚を無理に無くそうとしないで藥の量をそのままにして様子を見ることもあります。
  3. 幻覚が強く、日常生活に支障を来したり、周りの者が迷惑するようなときにはパーキンソン病の症状が増強することも覚悟の上で、一時的に向精神薬を併用して幻覚症状を押さえることもあります。
  4. 幻覚に対しては、可能ならばなるべく気にかけず,相手にしないで,無視することも役に立ちます。患者が幻覚の存在にこだわるときの周りの家族がとるべき態度としては、患者の幻覚をむきになって否定せず、患者の主張をひとまず受け入れてやると落ち着くようです。


Q:
パーキンソン病の薬を飲むときに何か注意するべきことがありますか?
A:
  1. 藥は主治医の指示通りきちんと服用し、自分勝手に飲み方や容量を変えてはいけません。

    L-ドパはとてもよく効く薬ですが、長い間には薬が効きにくくなったり、副作用が強くなったりしてきます。目先の状態だけではなく、長期的な展望に立って計画的に藥の種類、容量が決められます。自己判断で勝手に薬を多く飲んだり、減らしたりすることは、病状に対する医師の判断を誤らせ、時には危険なことも少なくありません。薬の用量、服用時間などについて変更する必要のあるときには、常に主治医と相談して指示を受けるようにして下さい。

  2. 藥の中にはパーキンソン病を悪化させる藥があり、飮み合わせのチェックが重要です。神経内科の主治医以外から出された藥の服用については、主治医の了解を受けて下さい。

    パーキンソン病の症状を悪化させる可能性のある藥には、
    胃腸薬の一部 
    血圧を下げる藥の一部
    不随意運動を抑える薬
    幻覚・妄想を抑える薬
    ビタミンB6、総合ビタミン剤

  3. 自分の判断で藥を中断しないで下さい。それは非常に危険なことです。

    パーキンソン病の治療薬は、急に服用を中止したり、極端に減量すると悪性症候群という重篤な状態となり、生命が危険な状態となったり、手足の筋力が非常に低下してしまい、日常生活動作の非常な低下を来すことがあります。特に暑い時期には脱水と重なって症状が悪化しやすいので注意が肝要です。

    悪性症候群について:
    パーキンソン病などの錐体外路系の病気で藥の減量・中断によって、あるいは藥の変更が無くても希に感染症や脱水などが関係して発熱、意識障害、全身の硬直、振戦などの症状が生じ、放置すると非常に重篤な状態となります。血清のCK値の上昇によって診断できますので、早急にダントリウム注射による治療を受ける必要があります。




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