パーキンソン病の薬物療法

L-ドーパ(L-DOPA) 

パーキンソン病で不足しているドーパミンの補充として使われます。ドーパミン自体を服薬すれば良いのではないかと思われるかもしれませんが、残念ながら、脳には脳に有害となる物質を脳内にいれないようにする関門があり、ドーパミンはこの関門のために脳内に入れません。ところが、ドーパは関門を通過できます。そのためにドーパを服薬します。この系統の薬剤は抗パーキンソン病薬の中では最も効果の強い薬です。 L-ドーパは服薬すると小腸で吸収され、血管の中に入ります。血管の中には、L-ドーパを分解する酵素があり、脳内に入る前に分解されその効力を失ってしまうものもあります。このため、血管内のドーパを分解する酵素を阻害する物質をドーパといっしょに服用すると、分解されるドーパの量を少なくできます。このように、L-ドーパとドーパを分解する酵素を阻害する物質をいっしょにした薬が合剤とよばれるもので、単剤に比べ効果は4〜5倍に達します。
一緒に含まれるL-ドパ分解阻害剤には、ベンゼラジドカルビドパのどちらかが用いられています。

副作用:悪心、嘔吐、食欲不振、などの消化器系副作用、めまい、起立性低血圧、不整脈などの循環器系副作用、興奮、幻覚、妄想、抑うつ、不眠などの精神症状、ねむけなどです。担当医に相談して許容範囲にコントロールが必要です。

 商品名と剤形(薬の写真)

抗コリン剤

パーキンソン病で相対的に活動が高まっているアセチルコリンを使う神経細胞を抑えるために使用します。パーキンソン症状のうち特に振戦(ふるえ)に効果があります。
商品名: アーテン パーキンなど

副作用:口渇、便秘、悪心、食欲低下、頻脈、動悸、排尿障害、視調節障害、緑内障、幻覚、妄想、注意力低下、記銘力障害

使用禁忌:緑内障、重症筋無力症、妊婦

 商品名と剤形(薬の写真)

塩酸アマンタジン

抗ウイルス剤として開発されたものですが、ドーパミンを使う神経細胞からドーパミンを放出させる作用があります
商品名: シンメトレル

副作用:めまい、立ちくらみ、悪心、嘔気、嘔吐、食欲不振、不安、幻覚、妄想、下腿浮腫、網状青斑

 商品名と剤形(薬の写真)

麦角・非麦角アルカロイド  

これらの薬剤はドーパミン受容体を刺激するために、ドーパミンと同じように刺激を伝達できる作用があります。
付着する受容体の選択性により次の4種類のものが用いられています。

刺激される受容体一般名商品名半減期1日投与回数
ドパミンD2受容体
(麦角系)
メシル酸ブロモクリプチンパーロデル 6時間3回
ドパミンD2受容体
(麦角系)
カベルゴリンカバサール 43時間1回
ドパミンD2受容体
(非麦角系)
塩酸タリペキソールドミン 5時間3回
ドパミンD1D2受容体
(麦角系)
メシル酸ペルゴリドペルマックス 15〜42時間3回

パーキンソン病の治療は、L-DOPA製剤によるドパミン補充療法が中心ですが、L-DOPAを長期に大量投与すると、反対にドパミン受容体の働きが減弱してしまいます。また、ドパミンの補充療法が神経の変性そのものを停める根本的な治療法ではないので、パーキンソン病が進行してドパミン神経細胞が神経終末にドパミンを保持できなくなり、不随意運動や症状の日内変動が強くなります。そのために、L-DOPAの減量、使用開始時期を遅らせることを目的として上記のドパミン受容体刺激薬が用いられています。言い換えれば、 パーキンソン病の初期のまだ症状の軽い時期には上記のドーパミン作動薬を単独で使用し、それだけでは十分な症状の改善が得られない場合にL-DOPAを併用することが勧められています。

副作用: 悪心、食欲不振、胃部不快感、起立性低血圧、不整脈、幻覚、妄想、眠気

 商品名と剤形(薬の写真)

塩酸セレギリン
選択的なモノアミン参加酵素B型(MAO-B)を阻害して、ドパミンの分解を抑制してドパミン量の減少を抑えます。
商品名: エフピー錠

使用上の注意:

  1. この薬には、以下のような併用禁忌(一緒に用いると危険な薬)のものがあります。
    • 三環系抗うつ剤(トフラニール、トリプタノールなど):高血圧、失神、不全収縮、発汗、悪性症候群など、死亡例も報告されています。三環系抗うつ剤の中止後2週間以上を経ていないと、この薬は服用してはいけません。
    • 塩酸ペチジン(オピスタンなど):高度の興奮、精神錯乱などが起きることがあります。
    • 非選択的MAO阻害剤(塩酸サフラジン):高度の起立性低血圧を生じることがあります。
    • 精神分裂病、覚醒剤の異存の既往歴のある方:精神症状の悪化が報告されています。
  2. この薬は、覚醒剤でもないし、覚醒作用もありませんが、覚醒剤の原料として指定されていますので、紛失などしないように取り扱いに注意が必要です。

副作用: 悪心・嘔吐、食欲低下、不随意運動、幻覚、めまい・ふらつきなど

 商品名と剤形(薬の写真)

L-ドプス

パーキンソン病で不足しているノルエピネフリンを補充する薬剤です。
商品名: ドプス

副作用: 悪心、嘔吐、食欲不振、便秘、血圧上昇、不整脈、動悸、四肢冷感、まぶしい、排尿障害、幻覚、妄想、不随意運動、パーキンソン症状の悪化

 商品名と剤形(薬の写真)


上記以外に対症療法として

抑うつ症状には抗うつ薬向精神薬が有効です。不随意運動にはグラマリールなど吐き気にナウゼリンなど、振戦が強い場合にベーター ブロッカーやクロナゼパムなどが使用されます。
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治療薬一覧 各々の薬剤の商品名と剤形を以下に示します

Lードーパ剤(単剤)


Lードーパ剤(合剤)


抗コリン剤


ドーパミン受容体刺激薬


ドパミン分解抑制薬


塩酸アマンタジン

L-ドプス


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