どのような検査が診断に必要ですか?

血液検査所見では逸脱酵素といわれるCK,GOT,GPT, HBD, LDH、アルドラーゼなどが高値です。CKは幼児期には正常値の100倍以上となります。GOTやGPTの値だけを見て、肝障害と診断され治療を受けている症例も多く経験します。筋ジストロフィーに肝障害が存在するのかどうかの判定は血清ICDHを見ると判別できます、すなわち筋ジストロフィーではICDHは正常範囲内なのです。

レントゲン検査では、筋肉CTの検査が行えるようになりました。筋CTは障害筋の分布を知る上で重要であり、また歩行児では歩行不能時期が推定できて便利です。すなわちお尻にある大殿筋という筋肉が全て脂肪化する時期が歩行不能となる時期と一致すると云われているからです。障害が進行しても腿にある薄筋と縫工筋という筋肉などが残存しやすいという特徴があることがわかりました。

筋電図という細い針を筋肉に入れて行う検査では、特徴的な波形が検出されます。この検査は痛みを伴いますが、筋萎縮症と筋ジストロフィーを区別するには大変有用な検査です。

筋生検(手術や太い針で筋肉をとってきて検査します)により得られた筋肉で特徴的な病理学的所見に加え免疫組織化学的検査で筋細胞膜のジストロフィンの状態を見れば確定診断がつけられます。ベッカー型の生検筋ではジストロフィンの蛋白質量、分子量を測定し、診断、予後判定(これからどうなるかということです)に役立てています。ジストロフィン蛋白量が正常の10%以下では重症となります。

現在ではジストロフィン遺伝子の検査(PCR検査やサザンブロット検査など)が比較的簡単に行えるようになりました。この2つの検査で遺伝子異常が見つかるのは全家系の70%です。遺伝子異常(遺伝子の一部が欠失といって欠けていたり、重複といって余分に存在していたりします)が検出されれば、患者はジストロフィン異常症であることが確実となります。

デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィーでは、遺伝子欠失が全家系の約55%で見つかり、15%の家系では遺伝子重複(一部のDNAが2つ並んでいる)が認められます。あとの30%の家系は遺伝子の点変異(DNAを形成する核酸のたった一つだけが異常であること)を含む小さな異常であろうと推定されています。遺伝子異常が検出された家系では保因者診断や胎児診断が直接的に可能となるので、周囲の家族にとっては貴重な情報なのです。遺伝子異常の存在が確認できない家系ではRFLP(制限酵素断片の多型性)という方法を応用した連鎖解析が行われます。この方法でも90%以上の確率で患者診断や保因者診断が可能であるとされています。

成人患者では臨床症状からデュシェンヌ型とベッカー型の鑑別は15歳で歩行していたかどうかで判定が容易ですが、幼児期や学童期に両者を鑑別することは難しいのです。臨床的にはジャンプ・片足跳躍ができるかどうかで判定できるといわれてはいますが、確実ではなく、このような年代の患者では筋生検が必要となるのです。

CT写真

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの筋CT(8歳)。左上から右に首、臍の高さ、太もも、下の段は肩、尻、ふくらはぎのレベル。一番白く見えるのが骨で中間色の大部分が筋肉である。この患者では尻の筋肉(大殿筋)がなくなっているところから歩けない患者であることが解る。


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