デュシェンヌ型の発生率は出産男子100万人について140ないし390といわれています。ベッカー型はデュシェンヌ型の約1/10ないし1/5程度とされています。
デュシェンヌ型では中途で病気の進行が止まる症例はないとされており、いったん発症すれば平均20歳程度で死亡してしまうという病気です。しかし、ベッカー型では臨床症状のない症例の存在や、筋痛のみで筋力が低下しない家系の存在などが知られるようになり、研究の進展とともに疾患概念は変化しつつあります。
女性では性染色体劣性遺伝型筋ジストロフィーは発症しないはずなのですが、ターナー症候群といってX染色体が一つしかない女性患者が存在します、この一つしかないX染色体上の筋ジストロフィー遺伝子が異常となり、デュシェンヌ型となった症例が報告されています。また、筋ジストロフィー遺伝子の場所で染色体が分離して、この部分が他の染色体について(相互転座といいます)発症した女性デュシェンヌ型の存在が1977年に知られました。この症例を女性デュシェンヌ型筋ジストロフィーといいます。女性デュシェンヌ型では、X染色体が女性ですから2つ持っているわけです。このため健常なジストロフィン遺伝子も存在しており、健康な遺伝子の作用がが抑制されてデュシェンヌ型を発症するメカニズムはまだ良くわかりません。一方、女性保因者(X染色体は2つありますから一方の筋ジストロフィー遺伝子が異常でも通常は患者となりません、これを保因者と名付けます)の発症も問題になります。正常な体細胞にはX染色体が一つだけ存在(リヨンの仮説)しており筋ジストロフィー遺伝子が異常なX染色体が筋細胞に高率に存在すれば筋ジストロフィーとなると説明されています。