どのような病理学的異常が見られますか?

デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィーの病理所見(肉眼や顕微鏡で調べる検査)の基本は筋肉細胞の壊死(わかりやすくいえば細胞が腐ってしまう)・再生です。壊死に陥った筋細胞の多くは再生しますが、壊死の進展が再生のスピードに勝るために筋細胞は徐々に消失して行き、消失した筋細胞は脂肪組織や結合織(いわゆるスジです)に置換されて行きます。骨格筋では脂肪化が著しいのですが、心筋では線維化が著しいという特徴があります
筋生検、HE染色図1筋生検、HE染色図2
図1は5歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の上腕二頭筋、図2は20歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の同じ筋肉。ほぼ同じ拡大で撮影しています。20歳の患者では筋肉の細胞がなくなって、脂肪や結合組織が増加しています。

骨格筋では手足の先の筋よりも胴体に近い筋で脂肪化が強く認められますが、首の周囲の筋は相対的に保持されています。他の臓器の変化としては肺・腎臓にかなりの頻度で、また、まれに脳に血管の閉塞(梗塞)が報告されるようになってきました。その他の臓器では、尿路結石、前立腺肥大の合併が知られています。神経細胞にもジストロフィンの存在が知られているため、何らかの障害がある可能性がありますが、肉眼や顕微鏡で検査した範囲では一定の変化は見られません。
抗ジストロフィン抗体で免疫組織化学的染色を施行すると筋膜にジストロフィン欠損を認めるのがデュシェンヌ型筋ジストロフィーであり、ベッカー型筋ジストロフィーでは筋細胞膜が不均一に染色されます。筋ジストロフィー保因者(特に症状を呈した保因者)では抗ジストロフィン抗体免疫組織化学的染色ではジストロフィン陽性細胞と陰性細胞がモザイク状に存在して観察されます。
正常筋、ジストロフィン染色 図3ジストロフィー筋、ジストロフィン染色図4
図3は正常筋肉、図4はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの筋肉。抗ジストロフィン抗体染色。正常人ではジストロフィンは筋細胞膜に存在し、この染色では光って認められますが、図4のデュシェンヌ型筋ジストロフィーではジストロフィンが認められません。


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