食べ易く、むせにくい食事メニューの工夫がありますか?

  1. 嚥下しやすい食品の種類、形態、温度には個人差があるので、状態に応じて工夫が必要となります。
    食物の硬さ、大きさ、粘調度を念頭に調理することです。
    素材は舌でつぶせる程度の軟らかいもの、加熱によって軟らかくなるものなどを選びます。

  2. むせたり、せき込んだりする場合は、水分が多くなめらかでドロドロ状のものが良いでしょう。
    例えば、ヨーグルト、生卵、長いも、納豆、エノキ茸ビン詰めなど。
    市販のトロメリンを加えると味噌汁などもドロドロ状になり、むせにくくなります。
    ミキサー食の薦め

  3. かみ砕くことが困難な場合、舌で押しつぶせる程度の軟らかさで、かつ粘重度のあるものが良いでしょう。

    例) プリン、たまご豆腐、かぼちゃの煮物など

    噛まなくても口の中でつぶせるプリン状食品でたんぱくの補給に有用なもの、やわらかキザミ食となった筑前煮、肉じゃがなども市販されています。それを参考にして家庭で作ったらよいでしょう。

    市販のプリン状食品、軟らかキザミ食

  4. ゲル化剤の利用

    ゼラチンやカタクリ粉のほかに、市販の増粘剤のトロメリンやトロミアップ、ゲル化剤のエンガードなどの利用で簡単に調理することができます。

    嚥下障害患者に用いられるトロミ増粘剤の一覧

  5. 市販食品の利用

    例) 冷凍食品(カボチャ、ジャガイモなど)、ビン詰めの裏ごし食品、ベビーフード、レトルトパックの粥スープなど

    ベビーフードは現在、430種類のものが市販されており、変化に富んでいるので利用しやすいと思われます。

    ベビーフードの「あんかけ」を豆腐にかけると味に変化が付くだけでなく、飲み込みやすくなります。また、ご飯に混ぜても飲み込みやすくなるでしょう。

  6. 水分の補給

    嚥下障害があると、水分摂取が不足しがちですが、水分の摂取が不足すると嚥下そのものもより困難になりますし、発熱、尿路感染など全身状態も悪くなります。また、唾液が粘重となり、痰が切れにくく、便秘にもなります。
    水分は、水ゼリーの形で与えると補給し易くなります。

  7. 便利な調理器具

    フードカッター、お粥専用土鍋、圧力鍋など

    脊髄小脳変性症における嚥下障害に対する対策



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    飲み込むことができなくなったらどうしたらよいでしょうか?

    経管栄養法で経腸栄養剤を使うことになります。方法としては、鼻から胃まで管を通す経鼻的胃カテーテルと、腹壁から直接胃に管を入れる胃瘻、腸瘻などがあります。

    胃瘻(いろう)について

    昔は、胃瘻造設というと全身麻酔して開腹するという、かなりの侵襲を加えるものでした。しかし、最近では経皮的内視鏡的胃瘻造設(PEG)が一般的となり、全身麻酔も不用で、非常に短時間(20分くらい)で作ることが出来るようになりました。長期に非経口的に栄養補給をする場合には、経静脈的栄養や、経鼻チューブによるのではなくて、胃瘻の方が外見が良くて、患者の苦痛も少なく、管理も簡単であり、勧められています。

    胃瘻と経鼻胃チューブの比較

    経皮的内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の概要

    PEGドクターズネットワーク

    長期経管栄養法の問題点

    経鼻胃チューブ、あるいは胃ろうチューブより注入する食品は、栄養のバランスからみて、

    家人が毎日食べているものをミキサーで水様物にして注入するのが一番すすめられます。

    ただ、トマトは種がそのまま残ってチューブを詰まらせるので注意が必要です。
    ミキサーをかける時によく回しておくことと、 面倒でも粒の無いように濾さなくてはなりません。細い目の茶こしで濾すとそれほど時間もかからず、簡単です。もし注入中に詰まった時は、チューブの繋ぎ目の細くなった所で、ホースをもんでやったり、注射器で圧力をかけると通るようになります。

    食品、あるいは薬剤として色々な流動食品が発売されていますが、それらを長期に使用するときには、以下の問題点があります。

    PEG 10の質問(PEGドクターズネットワークのHPより)


    Q:流動食を注入すると動悸がするのですが?
    A:
    流動食の注入の速度が速すぎると、一時的に動悸がすることがあります。動悸がするようならば、流動食の注入速度を少し遅くし、ベットのギャジアップを下げておくと間もなくおさまります。また、人工呼吸器を使用している方ならば、換気量を少し上げる(1回換気量または換気回数)のも良いようです。

    Q:経管流動食を注入すると下痢をするのですが?
    A:
    経管栄養によって、しばしば下痢を生じることがあります。
    下痢の原因としては、

    1. 投与速度が速すぎる。
      下痢をするときには1滴/1〜3秒程度に注入速度を遅くすると良いようです。また、栄養剤の温度が低いと低温刺激による蠕動運動の亢進により下痢を引き起こしますので、体温程度に温めて注入した方が良いでしょう。
    2. 栄養剤の浸透圧が高い場合も下痢が起こります。
      浸透圧が高い場合は微温湯で2〜3倍に希釈し投与し、流動食に慣れたら徐々に濃度を上げますが、注入速度を遅くするだけでたいていの場合は十分なようです。
    3. 細菌汚染
      流動食を扱う器具が不潔にならないように事前に十分な手洗いをするなどして注意して下さい。栄養カテーテルは食事の注入後、水やお茶を十分に流して清潔に保ちましょう。また、栄養剤は開封したら冷蔵庫内に保存し、1日以内に使い切るようにします。
    下痢をするからと言って、経管流動食を中心静脈栄養などに変えてしまうのは適当ではありません。腸管粘膜の機能は使わないと衰えるからです。

    下痢に対する対策としては、

    1. 流動食の注入速度を遅くする。又は少量ずつ分割して与える。
    2. 流動食を希釈する。
    3. 止痢剤を与える。
      通常の止痢剤ではなかなか効果が無く、リン酸コデインなどの強力な止痢剤を必要とすることもあります。
    4. 流動食の種類を変えると下痢が止まることがあります。

    Q:流動食を注入すると呼吸が苦しくなるのですが?
    A:
    筋萎縮性側索硬化症のように呼吸機能の低下のある方では、胃に流動食を注入することによって胃の容量が増えて横隔膜が押し上げられるために十分な換気が出来ず、呼吸が苦しくなることがあります。
    このような時の対策は、

    1. ギャジアップする。
    2. 少量ずつ頻回に注入する。
    3. ゆっくりと時間をかけて注入する

    Q:胃瘻のチューブとお腹の穴の部分との密着が悪く、胃チューブの周囲から胃液が漏れ出してしまうのですが?
    A:
    胃液が胃瘻の周囲より漏れ出すのが、チューブが細いためと考えて太いチューブにかえたり、チューブが密着するように引っ張って胃瘻の穴に固定しようとしがちですが、実際にはこれは逆効果で益々胃瘻の穴が大きくなり、もれがひどくなって胃瘻の周囲の皮膚がただれてきます。
    基本的には

    1. しばらくの間、チューブを少し細いものに変える。
    2. チューブをゆるめて(胃瘻チューブの先のバルブ(水袋)の位置を1〜2cm、胃の中に引っ込むようにする)あげる。
    3. 胃酸の分泌を抑える。そのために薬を用いる。必要があれば点滴で栄養補給を行い、しばらく胃瘻からの食事注入を休む。
    4. 栄養剤の粘度増強・固形化を図る(粘度増強食品を加える)。
      ワンポイントアドバイス(PEGドクターズネットワークのHPより)
    などの方がよいと考えています。

    Q:胃瘻は毎日、傷の処置しなければなりませんか?
    A:

    1. 胃瘻の処置は、一度、胃瘻が完成してしまえば、それほど神経質になる必要はありません。胃瘻の回りの皮膚がきれいに乾燥していれば処置の必要もありませんが、肉芽が飛び出して痛むときには、硝酸銀やドライアイスで肉芽を処置する必要もあります。皮膚炎を生じてかゆみがあればおむつかぶれと同様に軟膏を塗布するのがよいと思います。
    2. チューブの交換は、チューブがつまらなければ数カ月に1回で十分です。ただ、注入する薬のためにチューブが黒くなることがあります。
    3. 胃瘻のチューブは、最初に胃瘻造設した後でチューブを交換するときにはチューブの「バルブ(水袋)」の水は指示通りの量を保つようにする必要があります。あまり袋を膨らませ過ぎると、胃の蠕動によってチューブが胃の出口(幽門部)まで引き込まれてバルブが幽門部につまり、胃の内容物が胃から腸の方に出にくくなり、胃拡張になってしまうことがあります。ただ、バルブの水が少なくなるとチューブが自然に抜けてしまうことがあるので2〜3週間に1回程度、注射器でその量を確認し、減っていれば追加しておくとよいでしょう。


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