歩行障害など、身体障害のある方が、家庭内での日常生活を過ごしやすくし、また安全に動き回れるためには、家屋の改造が必要となることがあります。
一般に、日本の家屋は車椅子生活には不向きであり、移動、トイレ、入浴などに支障のあることが少なくありません。しかし、専門家(理学療法士、作業療法士)のアドバイスにより少し手を加えるだけでずっと生活しやすくなることも可能です。
今の家の間取りを専門家に見てもらって、具体的な改造の計画を立てたいのですが?
訪問リハビリという制度があります。
リハビリ専門病院では、理学療法士、作業療法士に患者の家庭訪問をさせ、患者さんの障害状況、既存家屋の構造、家庭の経済状況などを勘案して、最も良いと思われる家屋改造のアドバイスをしております。
具体的には、主治医または担当の療法士に相談し下さい。
家屋改造のための補助金制度にはどのようなものがありますか?
住宅改造のポイントは何ですか?
- 安全性の確保(転倒防止)
- 手すりを付ける(廊下、トイレ、浴室など)
- 手すりは、30〜40mm位の太さで、触れても冷たくない、木製か、ビニール製で被覆してあるものがよいでしょう。
- 手すりと壁との間に、十分にてが入れられるように50〜60mmの空け、壁の奥の間柱に堅固に固定する必要があります。
- 階段の手すりは、やや高くして腰骨の高さに設置し、階段の手すりと連続して階段のはしに水平の手すりを少し伸ばす必要があります。
- 段差の解消(玄関、部屋の敷居など)
- パーキンソン病では、逆説性歩行があり、平らな所よりも階段など障害のある所の方がスムーズに歩ける場合があり、そのようなときには段差は必ずしも歩行の妨げとはなりません
- 足のすくむ場所には、床にテープを歩幅の間隔にはると歩きやすくなります。
- ふかふかしたじゅうたん、滑りやすい敷物をやめる
- 部屋のガラス戸、家具のガラスなどに配慮する
- 特に、脊髄小脳変性症では身体のバランスを失い、ガラス戸にぶつかりけがをすることが少なくありません
- 安全のためにガラスが飛散しないようにビニールテープを貼っておくといくらかは安全です。
- 家具を固定する
- 居間や寝室で家具につかまって移動する場合に重要となります
- トイレ、浴室に通報装置(ベルなど)をもうける。
- 夜間には、足元の照明を確保することが重要です。
- 特に脊髄小脳変性症では、薄暗いとバランスを失いやすいのす。
- 機能性の向上
- 寝室の位置
- 寝室、居間、トイレ、浴室の距離は出来るだけ短いことが望まれます。
- 介助が必要になった時点には、1階の生活でないと困難ですが、階段昇降機、ホームエレベーターの導入により2階の生活も可能になります。
ホームエレベータの値段は、250万円から(搬入・工事費別途)、車椅子昇降リフトの値段は電動式45万円、手動式26万円からあります。
- ベットの使用

- 障害者にとっても、介助する人にとっても、畳の生活よりもベットでの寝起きの方が機能的です。
- 部屋の大きさにもよりますが、工夫してベットを置けるようにした方がよいでしょう。
- 病気が進行することを考慮して、予めギャッジベットを入れた方がよいでしょう。
- ベットの位置は、患者さんが起きやすい側がどちらかによって変わります。
- 脊髄小脳変性症、パーキンソン病など、手足の筋力は保たれているのに、体のバランスが上手くいかない方には、ベット柵の利用や「移動用バー」の設置が非常に役立ちます。
「移動用バー」の写真
- 段差の解消
- 玄関にスロープを設置、敷居の段差には楔状の木片をおく、などにより車椅子の使用がスムーズになります。
(浅賀忠義氏原図)「パーキンソン病患者における住宅改造について」(マックス第4号)より引用
- スロープは、1/12〜1/20の勾配が望ましく、それより急だと利用しにくいか、患者さん一人では利用できません。
(浅賀忠義氏原図:マックス第4号より引用)
自宅を改造するときのアドバイス(車椅子で出入りする場合の注意点 )
- 廊下
- 車椅子で余裕を持って動くには、廊下の幅は90 cm以上が必要です。
部屋の出入口は、有効幅80 cm以上が必要です。
- トイレ

(浅賀忠義氏原図:マックス第4号より引用)
(浅賀忠義氏原図:マックス第4号より引用)
- 廊下あるいは更衣室と浴室の洗い場とで段差がないようにする
- 段差が著しいときには洗い場にすのこを置いて入り口との段差を解消することが必要です。
- すのこは、浴室の掃除が楽に出来るように分割するなどの工夫をすると、備え付けが容易になります。
- 洗い場の床の高さを外の廊下と同じに作っても、洗い場と廊下との間に10 cmくらいの水切りを作り、そこにすのこを置けば洗い場の水が廊下に流れでないように出来ます。
- 手すりを付ける。
- 壁の構造の関係で手すりを付けることが難しいときには、浴槽の縁に取り付けるつかまるための道具(お風呂ヘルパー「グリップ」)が市販されており、便利です。
- 浴槽内には足の滑りどめに、滑りどめマットを敷くと良いでしょう。
- 障害が強く、介助入浴が困難であれば、入浴用リフトを設置することが勧められます。
固定入浴介護リフトの値段は、電動式50万円から、手動式29万円から。
入浴時の家族の介護負担を軽減させるための吉田さんの工夫
- 洗面台あるいはテーブルは、車椅子で使用する場合には車椅子の前部がぶつからないように洗面台あるいはテーブルの下の奥行きを空けておく必要があります。
自宅を改造するときのアドバイス(車椅子で使用する浴室・洗面所 )
- 快適性の向上
- 適度な室温、湿度の保つ工夫
- パーキンソン病では、室温の低下により筋肉のこわばりが強まり、動きにくくなることが少なくありません。
- シャイ・ドレーガー症候群、脊髄小脳変性症などでは、自律神経障害のため、ちょっとした室温の上昇で発熱したり、血圧が下がって具合が悪くなることがあります。
シャイ・ドレーガー症候群などでの室温調節の重要性について
- プライバシーの尊重
- ポータブル便器を使用する場合などでは、
- 臭気などに配慮して、換気装置を付ける。
カーテンを付ける
住宅改造に関するリンク
安全、快適、自立の住まいづくり(大阪府立介護実習・普及センター)
-
ホームステップ(バリアフリーハウスを求めての改造の実例)
環境制御装置(NSシーケアパイロット)
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